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2013年01月09日

No.055:御賜煙草

ようこそ大日本衛生資料室へ。 本日ご紹介する資料はコチラ・・・


資料No.055:御賜煙草
No.055:御賜煙草
   品名 : 御賜煙草
   製造 : 大日本帝国 専売局
   分類 : タバコ
   年代 : 戦時中
   定価 : 下賜
   寸法 : 9.6×9.2×1.5cm
   在庫 : 1個

年明け一発目にふさわしい逸品、「御賜煙草」です。

「御賜煙草(おんしたばこ)」は皇室より下賜された紙巻タバコのことで、
天皇陛下から下賜されたものが一般的ですが、宮家からのものも存在します。
紙箱に入っており、1本1本「菊の文様」が印刷されているのが特徴です。

戦前までは「御賜煙草」、戦後は「恩賜たばこ」と表記し、どちらも「おんしたばこ」と読みます。
間に「の」を入れて「おんしのたばこ」(コチラの方が聞きなれているかも)とも言います。
変遷の経緯については不明・・・

明治27年(1894年)、「日清戦争」の際に「岩谷商会」が軍納入用に製造したタバコが、
現在の「御賜煙草」(「恩賜たばこ」)の起源とされています。

ちなみに日清戦争後、「岩谷商会」から「御賜」と言う名で民間にも売り出されていたもよう。
同時期に販売されていた最高級たばこと同等の価格で、20本入り6銭、50本入り15銭でした。

明治37年(1904年)、タバコが専売制となり製造は「専売局」が行うようになります。
(これ以降、「専売局」⇒「日本専売公社」⇒「JT」と変遷)

「皇室からタバコが下賜される」のは、明治10年(1877年)の西南戦争時からあったのですが、
制度上は昭和8年(1933年)に開始されたことになっています。
それ以前と以降では取り立てて「御賜煙草」に違いはなさそうです。

平成18年(2006年)、タバコを有害なものとする風潮を受け、「恩賜たばこ」制度廃止・・・
現在では「恩賜の金平糖」が代替品となっています。


製造元の「専売局」の沿革は以下の通り。

明治30年(1897年)
   葉タバコの専売に先駆けて、「大蔵省」が管轄する「葉煙草専売所」を全国61箇所に設置。
明治31年(1898年)
   政府が1月1日から葉タバコの専売を開始。
明治31年(1898年)
   「大蔵省」の外局として「葉煙草専売所」を管轄する「専売局」を設置。
明治32年(1899年)
   「葉煙草専売所」が廃止、それに代わり「専売支局」を全国56箇所に設置。
明治37年(1904年)
   政府がタバコ製造の専売を開始、それに伴い「専売局」を「煙草専売局」に改組。
明治40年(1907年)
   「煙草専売局」「樟脳事務局」「塩務局」を統合、新たに「専売局」を設置。
昭和24年(1949年)
   「専売局」は「大蔵省」から分離独立し、「日本専売公社」が発足。
昭和60年(1985年)
   「日本専売公社」は「日本たばこ産業株式会社」に専売権を継承させ解散。



外箱
No.055:御賜煙草
「御賜」の黒文字が燦然と輝いていますね。
一般的に戦前の「御賜」が書かれたものを「御賜煙草」、
戦後の「賜」が書かれたものを「恩賜たばこ」と呼びます。


この文字により大まかな年代特定が出来ます。

「御賜」金文字・・・明治から戦前
「御賜」黒文字・・・戦時中   (物資不足で金から黒に変更)
「賜」黒文字・・・戦後   (「御」の字が消えた理由は不明)

こちらは「御賜」黒文字ですので、戦時中の品だと判断出来ますね。



中身
No.055:御賜煙草
銀紙そして紙の二重の包みを解くと、金色に輝く「菊の文様」入りタバコが姿を現します。
フィルターのないノンフィルターですが戦後の「恩賜たばこ」はフィルター付きです。

当初「御賜煙草」は吸い口部分に「菊の文様」が印刷されていたのですが、その吸殻がポイ捨てされ、
更には踏まれることが問題となり、大正3年から煙草葉の部分に
「菊の文様」が印刷されるようになったそうです。


タバコのフィルターでの大まかな年代特定が出来ます。

ノンフィルターで吸い口部分に「菊の文様」・・・大正3年以前
ノンフィルターで煙草葉部分に「菊の文様」・・・大正3年から終戦
フィルター付きタバコ・・・戦後

こちらはノンフィルターで煙草葉部分に「菊の文様」ですので、
大正3年から終戦の品だと判断出来ますね。


当方所有の品は10本入りですが、他にも50本入り、20本入り、5本入りが存在します。
(50本入りは「ピース缶」のような缶入り)



この薬品に関する追加情報をお持ちの方は、
「コメント」または「メッセージを送る」から御教授下さい。

それでは、またのお越しを・・・



【室長日誌】
 「御賜煙草」や「恩賜たばこ」は骨董品として販売されているのをたまに見かけますが、
 代替品である「恩賜の金平糖」は販売されている形跡がありませんね。
 やはり食品と言う性質上、中身入りのまま保存されてる方が少ないのでしょう・・・
 それを考えると、これから外箱のみがオークションに出品される機会は多くなりそうですね。
 まあ、どうせなら中身入りで入手したいですが。


【関連リンク】
 JTホームページ
 恩賜のたばこ - Wikipedia
 大蔵省専売局 - Wikipedia
 岩谷松平 - Wikipedia


【当資料室の注意事項】
 ●ご紹介する薬品に違法な物は含まれておりません(・・・多分)。
 ●記載されている情報はネットで軽く調べた程度のモノです。
 ●薬の年代特定に関しては『レトロな薬の年代特定法』を参照して下さい。
 ●「旧字体モノ」「右書きモノ」などの「〜モノ」は私が勝手に名付けただけです。
 ●「陸軍衛生材料廠」の品を「陸軍衛生材料」としていますが、私が勝手に呼んでるだけです。
 ●米帝の薬品類は『パイル二等兵の露営日記』にてご紹介致します。


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Posted by パイル二等兵 at 12:00│Comments(0)タバコ
 
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