2015年11月22日
レトロな薬の年代特定法
ようこそ大日本衛生資料室へ。
本日は「レトロな薬の年代特定法」を記載させて頂きます。
新情報が見つかり次第、加筆修正していきます。
本日は「レトロな薬の年代特定法」を記載させて頂きます。
新情報が見つかり次第、加筆修正していきます。
【其の一】記載された製造年より年代を特定
旧日本軍(「陸軍衛生材料廠」)が支給していた医薬品には、
製造年月日が記載されているので判断出来る。
「陸軍衛生材料廠」が支給していた医薬品を当ブログでは「陸軍衛生材料」と呼ぶ。
「陸軍衛生材料」は経年劣化等で製造年月日が判読できなくても、
昭和20年(1945年)以前の品であると判断出来る。
逆にレトロな市販薬には製造年月日がほとんどない記載されていない。
【其の二】漢字が「旧字体」なのか「新字体」なのかでおおよその年代を特定
かつて使用されていた「旧字体」(例:「會社」)が「新字体」(例:「会社」)に完全に変更されたのは、
おおよそ昭和25~30年以降なので以下の推測が出来る。
「旧字体」・・・昭和30年(1955年)以前の品
「新字体」・・・昭和25年(1950年)以降の品
「旧字体」で書かれている品を当ブログでは「旧字体モノ」と呼ぶ。
【其の三】横書き文字が「左横書き」なのか「右横書き」なのかで凡その年代を特定
明治以降の横書き文字は右⇒左に書かれている「右横書き」と、
左⇒右に書かれている「左横書き」両方が混在していたが基本的には「右横書き」になっていた。
1940年代から「左横書き」に統一され始め、戦後はほぼ「左横書き」になる。
これらのことから以下の推測が出来る。
「右横書き」・・・戦前~戦後直後の品
「左横書き」・・・年代特定不能
「右横書き」で書かれている品を当ブログでは「右書きモノ」と呼ぶ。
【其の四】製造会社名の変化により年代を特定
製造会社名が時代により変化している場合、記載された会社名より年代を判断出来る。
例:「丹平製薬」
「丹平商会」名義・・・明治27年~昭和11年(1894~1936年)
「株式会社丹平商会」名義・・・昭和11年~32年(1936~1957年)
「丹平製薬工業」名義・・・昭和32~43年(1957~1968年)
「丹平製薬株式会社」名義・・・昭和43年(1968年)~現在
【其の五】製造会社の住所に記載されている地名により特定
製造会社の住所の地名が時代により変化している場合、記載された地名より年代を判断出来る。
有名なものとして明治22年~昭和18年に存在した「東京市」があり、以下の判断が出来る。
※「東京市」は現在の「東京都」ではなく、「東京23区」に相当
「東京府」・・・明治元年~昭和18年(1872~1943年)の品
「東京市」・・・明治22年~昭和18年(1889~1943年)の品
「東京都」・・・昭和18年(1943年)以降の品
「東京市」と記載されている品を当ブログでは「東京市モノ」と呼ぶ。
「東京府」と記載されている品を当ブログでは「東京府モノ」と呼ぶ。
【其の六】製造会社の住所に記載されている地名もしくは書かれている言語により特定
製造会社の住所が朝鮮などの日本統治下の地名が記載されている場合、
もしくはハングル文字など統治されていた地域の言語が書かれている場合、
日本統治時代の品であると判断出来る。
現在確認出来てるのは以下の4例。
「朝鮮の地名」or「ハングル表記」・・・朝鮮が統治されていた明治43年~昭和20年
「台湾の地名」or「中国語表記」・・・台湾が統治されていた明治28年~昭和20年
「満州国の地名」or「中国語表記」・・・満州国が存在した昭和7~20年
「北京の地名」or「中国語表記」・・・北京が占領されていた昭和12~20年
※「北京」と言う地名は昭和15年からなので実質的には昭和15~20年
「中国語表記」については、「台湾語」「満州語」「北京語」が使い分けられて表記されているのか不明。
日本統治下の地名が記載されている品もしくはその地域の言語で書かれている品を
当ブログでは「植民地モノ」と呼ぶ。
【其の七】「収入印紙(売薬印紙)」の有無により年代を特定
明治10年(1877年)から薬には「売薬税」が掛けられていたのが、
その「売薬税」を「収入印紙(売薬印紙)」の貼付と言う形で徴収していたのは
明治15年~大正15年(1882~1926年)なので以下の判断が出来る。
「収入印紙」有り・・・大正15年(1926年)以前の品
「収入印紙」無し・・・大正15年(1926年)以降の品
「収入印紙」が貼られている品を当ブログでは「印紙モノ」と呼ぶ。
【其の八】販売価格の単位が「円」なのか「銭」なのかで年代を特定
「銭」の単位は昭和28年(1953年)に廃止されたので以下の判断が出来る。
価格単位が「銭」・・・昭和28年(1953年)以前の品
価格単位が「円」・・・年代特定不能
価格単位が「円」であっても、「1.5円」のように「銭」の位が存在する場合は
昭和28年以前の品であると判断出来る。
【其の九】「価格統制品マーク」の有無により年代を特定
昭和13年(1938年)に「国家総動員法」が制定され、
人的・物的資源を政府が統制運用できるようになった。
昭和14年(1938年)に「価格等統制令」が制定され、価格の値上げが禁止された。
昭和15年(1940年)に価格統制品を示すマークを付けることが義務化。
昭和21年(1946年)に廃止された。
「価格統制品マーク」の主な種類は以下の通り。
①マル公(公定価格):政府が定めた最高販売価格
②マル停(停止価格):業者独自の販売価格でそれ以上値上げしないと定めた価格
③マル協(協定価格):業者の組合が政府の認可を得て定めた価格
ただし「マル公」は昭和21年(1946年)の「物価統制令」でも使用されている。
「物価統制令」は現在でも有効だが、昭和27年(1952年)に実質撤廃されている。
これらのことから以下の判断が出来る。
「マル公」有り・・・昭和15~27年(1940~1952年)の品
「マル停」有り・・・昭和15~21年(1940~1946年)の品
「価格統制品マーク」無し・・・年代特定不能
「価格統制品マーク」がない場合、義務化されていない昭和15~21年以外の品であると判断する。
「価格統制品マーク」が押されている品を当ブログでは「統制品モノ」と呼ぶ。
【其の他】未分類の特定法 ※今後整理する予定(2016年2月17日追記)
「松本良順」もしくは「松本順」の名が記載されている品。「松順モノ」と呼ぶ。
使用禁止になった薬品が含まれていることで年代を特定。
その他に年代を特定する材料をご存知の方は、
「コメント」または「メッセージを送る」から御教授下さい。
それでは、またのお越しを・・・
【当資料室の注意事項】
●ご紹介する薬品に違法な物は含まれておりません(・・・多分)。
●記載されている情報はネットで軽く調べた程度のモノです。
●薬の年代特定に関しては『レトロな薬の年代特定法』を参照して下さい。
●「旧字体モノ」「右書きモノ」などの「〜モノ」は私が勝手に名付けただけです。
●「陸軍衛生材料廠」の品を「陸軍衛生材料」としていますが、私が勝手に呼んでるだけです。
●米帝の薬品類は『パイル二等兵の露営日記』にてご紹介致します。
旧日本軍(「陸軍衛生材料廠」)が支給していた医薬品には、
製造年月日が記載されているので判断出来る。
「陸軍衛生材料廠」が支給していた医薬品を当ブログでは「陸軍衛生材料」と呼ぶ。
「陸軍衛生材料」は経年劣化等で製造年月日が判読できなくても、
昭和20年(1945年)以前の品であると判断出来る。
逆にレトロな市販薬には製造年月日がほとんどない記載されていない。
【其の二】漢字が「旧字体」なのか「新字体」なのかでおおよその年代を特定
かつて使用されていた「旧字体」(例:「會社」)が「新字体」(例:「会社」)に完全に変更されたのは、
おおよそ昭和25~30年以降なので以下の推測が出来る。
「旧字体」・・・昭和30年(1955年)以前の品
「新字体」・・・昭和25年(1950年)以降の品
「旧字体」で書かれている品を当ブログでは「旧字体モノ」と呼ぶ。
【其の三】横書き文字が「左横書き」なのか「右横書き」なのかで凡その年代を特定
明治以降の横書き文字は右⇒左に書かれている「右横書き」と、
左⇒右に書かれている「左横書き」両方が混在していたが基本的には「右横書き」になっていた。
1940年代から「左横書き」に統一され始め、戦後はほぼ「左横書き」になる。
これらのことから以下の推測が出来る。
「右横書き」・・・戦前~戦後直後の品
「左横書き」・・・年代特定不能
「右横書き」で書かれている品を当ブログでは「右書きモノ」と呼ぶ。
【其の四】製造会社名の変化により年代を特定
製造会社名が時代により変化している場合、記載された会社名より年代を判断出来る。
例:「丹平製薬」
「丹平商会」名義・・・明治27年~昭和11年(1894~1936年)
「株式会社丹平商会」名義・・・昭和11年~32年(1936~1957年)
「丹平製薬工業」名義・・・昭和32~43年(1957~1968年)
「丹平製薬株式会社」名義・・・昭和43年(1968年)~現在
【其の五】製造会社の住所に記載されている地名により特定
製造会社の住所の地名が時代により変化している場合、記載された地名より年代を判断出来る。
有名なものとして明治22年~昭和18年に存在した「東京市」があり、以下の判断が出来る。
※「東京市」は現在の「東京都」ではなく、「東京23区」に相当
「東京府」・・・明治元年~昭和18年(1872~1943年)の品
「東京市」・・・明治22年~昭和18年(1889~1943年)の品
「東京都」・・・昭和18年(1943年)以降の品
「東京市」と記載されている品を当ブログでは「東京市モノ」と呼ぶ。
「東京府」と記載されている品を当ブログでは「東京府モノ」と呼ぶ。
【其の六】製造会社の住所に記載されている地名もしくは書かれている言語により特定
製造会社の住所が朝鮮などの日本統治下の地名が記載されている場合、
もしくはハングル文字など統治されていた地域の言語が書かれている場合、
日本統治時代の品であると判断出来る。
現在確認出来てるのは以下の4例。
「朝鮮の地名」or「ハングル表記」・・・朝鮮が統治されていた明治43年~昭和20年
「台湾の地名」or「中国語表記」・・・台湾が統治されていた明治28年~昭和20年
「満州国の地名」or「中国語表記」・・・満州国が存在した昭和7~20年
「北京の地名」or「中国語表記」・・・北京が占領されていた昭和12~20年
※「北京」と言う地名は昭和15年からなので実質的には昭和15~20年
「中国語表記」については、「台湾語」「満州語」「北京語」が使い分けられて表記されているのか不明。
日本統治下の地名が記載されている品もしくはその地域の言語で書かれている品を
当ブログでは「植民地モノ」と呼ぶ。
【其の七】「収入印紙(売薬印紙)」の有無により年代を特定
明治10年(1877年)から薬には「売薬税」が掛けられていたのが、
その「売薬税」を「収入印紙(売薬印紙)」の貼付と言う形で徴収していたのは
明治15年~大正15年(1882~1926年)なので以下の判断が出来る。
「収入印紙」有り・・・大正15年(1926年)以前の品
「収入印紙」無し・・・大正15年(1926年)以降の品
「収入印紙」が貼られている品を当ブログでは「印紙モノ」と呼ぶ。
【其の八】販売価格の単位が「円」なのか「銭」なのかで年代を特定
「銭」の単位は昭和28年(1953年)に廃止されたので以下の判断が出来る。
価格単位が「銭」・・・昭和28年(1953年)以前の品
価格単位が「円」・・・年代特定不能
価格単位が「円」であっても、「1.5円」のように「銭」の位が存在する場合は
昭和28年以前の品であると判断出来る。
【其の九】「価格統制品マーク」の有無により年代を特定
昭和13年(1938年)に「国家総動員法」が制定され、
人的・物的資源を政府が統制運用できるようになった。
昭和14年(1938年)に「価格等統制令」が制定され、価格の値上げが禁止された。
昭和15年(1940年)に価格統制品を示すマークを付けることが義務化。
昭和21年(1946年)に廃止された。
「価格統制品マーク」の主な種類は以下の通り。
①マル公(公定価格):政府が定めた最高販売価格
②マル停(停止価格):業者独自の販売価格でそれ以上値上げしないと定めた価格
③マル協(協定価格):業者の組合が政府の認可を得て定めた価格
ただし「マル公」は昭和21年(1946年)の「物価統制令」でも使用されている。
「物価統制令」は現在でも有効だが、昭和27年(1952年)に実質撤廃されている。
これらのことから以下の判断が出来る。
「マル公」有り・・・昭和15~27年(1940~1952年)の品
「マル停」有り・・・昭和15~21年(1940~1946年)の品
「価格統制品マーク」無し・・・年代特定不能
「価格統制品マーク」がない場合、義務化されていない昭和15~21年以外の品であると判断する。
「価格統制品マーク」が押されている品を当ブログでは「統制品モノ」と呼ぶ。
【其の他】未分類の特定法 ※今後整理する予定(2016年2月17日追記)
「松本良順」もしくは「松本順」の名が記載されている品。「松順モノ」と呼ぶ。
使用禁止になった薬品が含まれていることで年代を特定。
その他に年代を特定する材料をご存知の方は、
「コメント」または「メッセージを送る」から御教授下さい。
それでは、またのお越しを・・・
【当資料室の注意事項】
●ご紹介する薬品に違法な物は含まれておりません(・・・多分)。
●記載されている情報はネットで軽く調べた程度のモノです。
●薬の年代特定に関しては『レトロな薬の年代特定法』を参照して下さい。
●「旧字体モノ」「右書きモノ」などの「〜モノ」は私が勝手に名付けただけです。
●「陸軍衛生材料廠」の品を「陸軍衛生材料」としていますが、私が勝手に呼んでるだけです。
●米帝の薬品類は『パイル二等兵の露営日記』にてご紹介致します。
Posted by パイル二等兵 at 12:00│Comments(0)
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