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2011年08月04日

No.021:カオール(徳用瓶入)

ようこそ大日本衛生資料室へ。 本日ご紹介する資料はコチラ・・・


資料No.021:カオール(徳用瓶入)
No.021:カオール(徳用瓶入)
   品名 : カオール(徳用瓶入)
   製造 : 株式会社安藤井筒堂薬品部(東京)
   販売 : 株式会社藤森源之助商店(関西)
   分類 : 口内清涼剤(口内殺菌剤)
   年代 : 明治28年~昭和15年(1895~1940年)
   定価 : 30銭(800粒入)
   寸法 : 8.5×5.3×2.7cm(外箱)、6.3×4×1.5cm(瓶)
   在庫 : 1個

「仁丹」の先輩格「カオール」です。

「仁丹」が明治38年(1905年)発売、
「カオール」が明治32年(1899年)発売なので6年先輩にあたります。

戦前までは口内清涼剤の両巨頭として鎬を削ってきましたが、
戦後は「仁丹」が絶対王者に君臨してしまってますね。

「カオール」は川端康成の小説「伊豆の踊子」に登場しています。


製造元の「株式会社安藤井筒堂薬品部」の沿革は以下の通り。

江戸時代後期
   日本橋にて香油を販売していた「井筒屋香油店」が存在。
明治20年(1887年)
   「井筒屋香油店」が閉店。
明治27年(1894年)
   「井筒屋香油店」に在籍していた「安藤福太郎」が「安藤井筒堂」を設立。
昭和26年(1951年)
   「藤井庄右衛門」が事業継承し「オリヂナル薬粧株式会社」を設立。
昭和54年(1979年)
   社名を「オリヂナル株式会社」と改名。

関西方面の販売を担当していた「藤森源之助商店」の沿革については詳細不明。



外箱
No.021:カオール(徳用瓶入)
No.021:カオール(徳用瓶入)
中の瓶が描かれた、なかなか凝ったデザインですね。

表の「カオール」と言う文字が「ルー大力」に見えませんか?


漢字が「旧字体」で書かれている、いわゆる「旧字体モノ」ですので、
昭和30年以前の品であると推測出来ます。

横書き文字が右から左に書かれている、いわゆる「右書きモノ」ですので、
戦前~戦後直後の品であると推測出来ます。

住所に「東京市」と記載されている、いわゆる「東京市モノ」ですので、
明治22年~昭和18年の品であると判断出来ます。

中国語表記がある、いわゆる「植民地モノ」ですので、
台湾統治時代の明治28年~昭和20年の品、もしくは満州国時代の昭和7~20年の品、
もしくは北京占領時代の昭和12~20年(「北京」と言う地名は昭和15年から)の
品であると判断出来ます。

ハングル表記がある、いわゆる「植民地モノ」ですので、
明治43年~昭和20年(朝鮮統治)の品であると判断出来ます。

収入印紙が貼られていませんので、大正15年以降の品であると判断出来ます。

価格単位が「銭」となっていますので、昭和28年以前の品であると判断出来ます。

「価格統制品」マークが押されていませんので、昭和15~21年以外の品であると判断できます。
また戦前の雰囲気を感じますので、昭和15年以前の品であると推測できます。



中身
No.021:カオール(徳用瓶入)
数十年前のモノとは思えないほど美しく銀色に輝いてます。
銀コーティングが保存に向いていることの証ですね。

見え辛いですが、瓶の下の方には「カオール」とエンボス文字が入っています。

ラベルが斜めに付いてますね・・・作業員のミスでしょうか?


説明書  ※画像をクリックすると拡大します
No.021:カオール(徳用瓶入)
No.021:カオール(徳用瓶入)
表には効能などが日本語で、裏にはハングル・中国語・英語で書かれています。
(裏面の右下は一体何なのでしょうか? アラビア語? 草書体?)

現代のモノに比べ、明らかに効能が多いです・・・恐らく過大広告でしょう。

【2015年2月11日追記】 情報提供:エリカ殿
 はじめまして!
 レトロ薬のコレクションの数々と解説、大変興味深く拝読しています。
 説明書裏面の右下にある文字ですが、これは満州文字ではないでしょうか。
 台湾統治・朝鮮統治時代なので時期も被っているかと思われます。


謎の文字は「満州語」だったようです。
つまり満州国時代の昭和7~20年の品であると判断出来ます。

以上のことから、この品が昭和7~昭和15年に製造されたと判断出来ますね。



この薬品に関する追加情報をお持ちの方は、
「コメント」または「メッセージを送る」から御教授下さい。

それでは、またのお越しを・・・



【室長日誌】
 今回からデータ欄に「寸法」を加えてみました。


【関連リンク】
 オリヂナルホームページ
 オリヂナル - Wikipedia
 満州文字 - Wikipedia


【旧コメント欄】
 カオール はじめて見ました。 川端康成の伊豆の踊り子の作中やに出でくる薬ですね。
                    Posted by トペトロ at 2012年08月31日 23:25

 はじめまして!
 レトロ薬のコレクションの数々と解説、大変興味深く拝読しています。
 説明書裏面の右下にある文字ですが、これは満州文字ではないでしょうか。
 台湾統治・朝鮮統治時代なので時期も被っているかと思われます。
                    Posted by エリカ at 2014年07月13日 22:52


【当資料室の注意事項】
 ●ご紹介する薬品に違法な物は含まれておりません(・・・多分)。
 ●記載されている情報はネットで軽く調べた程度のモノです。
 ●薬の年代特定に関しては『レトロな薬の年代特定法』を参照して下さい。
 ●「旧字体モノ」「右書きモノ」などの「〜モノ」は私が勝手に名付けただけです。
 ●「陸軍衛生材料廠」の品を「陸軍衛生材料」としていますが、私が勝手に呼んでるだけです。
 ●米帝の薬品類は『パイル二等兵の露営日記』にてご紹介致します。



Posted by パイル二等兵 at 12:00│Comments(0)口内清涼剤
 
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